HITAC S-820

保存されているHITAC S-820の拡張記憶および主記憶筐体

保存されているHITAC S-820の拡張記憶および主記憶筐体


HITAC S-820最上位モデル(モデル80)のカタログ写真

HITAC S-820最上位モデル(モデル80)のカタログ写真



製造年 1987年
製造者 (株)日立製作所
所有者 (株)日立製作所
史料所在地 〒244-0817 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292 (株)日立製作所 横浜事業所内
公開情報 原則非公開(応相談)
照会先 https://www.hitachi.co.jp/products/it/portal/museum/

 ベクトル型スーパーコンピュータHITAC S-820はS-810後継機として1987年12月初号機が出荷された.専用ロジックインメモリ素子採用等によりベクトル演算性能をS-810の3倍以上に引き上げ,シングルプロセッサとしては最高性能であった.以下に主な特長を示す.
 アーキテクチャ面の特長としては,ベクトル要素並列パイプラインの採用やリンク式ベクトル起動等により短ベクトル性能の向上を図っただけでなく,主記憶(最大512メガバイト)スワップ用の拡張記憶(最大12ギガバイト)採用による入出力処理時間短縮,計算結果の動画像出力機構による計算結果リアルタイム可視化等ユニークな機能を搭載していた.
 また実装面の特長としては,アクセス時間2.5nsで容量7キロビットSRAMと2,500ゲート論理を混載した専用ベクトルレジスタ(VR)素子や,VR/論理素子を72個搭載した基板をバックプレーンに垂直搭載する三次元実装架構造を採用し,占有面積あたり性能を向上した.また床下から冷気を吹き上げ冷却する構造によりS-810の循環水冷却を不要とし,汎用機同等設備での設置を可能とし,製造業や金融等民間にも利用された.
 2009年10月,S-810とともに国立科学博物館より国産初期のスーパーコンピュータとして重要科学技術史資料☆1の認定を受けた.


☆1 第00042号 http://sts.kahaku.go.jp/material/