HIPAC MK-1

HIPAC MK-1本体

HIPAC MK-1本体


製造年 1957年
製造者 (株)日立製作所
所有者 (株)日立製作所
史料所在地 〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪1-280 (株)日立製作所 中央研究所
公開情報 原則非公開(応相談)
照会先 中央研究所 Tel.042-323-1111

 HIPAC MK-1は,1957年日立製作所中央研究所で開発されたプログラム内蔵方式ディジタル計算機である.演算素子には,1954年に東京大学で発明されたパラメトロンを用い,記憶装置には磁気ドラムが採用された.
 HIPAC MK-1は英ケンブリッジ大学のEDSAC,米イリノイ大学のILLIACの構成などを参考に設計製作された.使用されたパラメトロンは約4,000個,クロック周波数は10kHzで,その演算速度は加減算4ms,乗算8ms,除算160msであった.磁気ドラムの回転数は5,600回転/分,記録容量は1024語で,磁気ドラム記録装置には日立が独自に考案した番地変更方法が採用された.
 HIPAC MK-1は日立製作所と日立電線が共同で開発した.送電線の弛張力の設計に用いられ,1径間の計算を人が手で行うと約7時間かかるところを約1分で行うことができた.その後,1958年クロック周波数の2倍化,語長の変更などを行ったHIPAC 101を開発し,翌年パリで開かれたユネスコ主催の展示会に出展した.これをもとに工場で製品化が行われ,1960年から出荷を開始し,主に科学技術計算用として販売された.HIPAC MK-1の完成は,国産計算機の黎明期における基礎を築くうえで重要な役割を果たした.