日本のコンピュータパイオニア

萩原 宏萩原 宏
(はぎわら ひろし)
1926〜2014

萩原宏は1926年6月27日石川県金沢市に生まれ.1950年に京都大学工学部電気工学科を卒業し,直ちにNHKに入り,技術研究所において電子回路,情報理論,通信方式などの研究に従事した.1957年京都大学工学部に転じて,もっぱら計算機の研究開発に当たった.1958年京都大学第1号電子計算機(KDC-1)の計画の発足とともにその開発に参画し,トランジスタ,ダイオードを素子として安定確実な動作を目標に開発を進め,トランジスタ回路の改良をはじめ,ハードウェアの信頼性向上に努力し,また,基本プログラムの開発に当たった.引き続いて計算機の高速化の研究を進め,1961年より,マイクロプログラム制御,非同期方式の計算機(KT-パイロット)の開発を行った.この計算機は我が国最初の本格的なマイクロプログラミング方式で,マイクロプログラムを可変にすることにより機械命令を目的に応じて変更することができること,回路の非同期動作による高速化,さらに磁性薄膜記憶の利用などにより,高速計算機を実現した.この成果はTOSBAC-3400として商用化され,これを利用して,アセンブラおよびFORTRAN,ALGOL 60のコンパイラの研究開発を行った.

その後,さらに処理の高速化を図るため,並列処理方式の研究を進め,1974年より, 1つのマイクロ命令によりレジスタ-ALUレベルでの4個の同時動作を行うマイクロプログラム制御による低レベル並列処理計算機QA-1を試作し,図形処理その他に応用を試みた.引き続き,さらに本格的な応用のため,規模の大きいQA-2を開発した.これらはいずれもいわゆるダイナミック・マイクロプログラミング方式で,マイクロプログラムを自由に変更できるため,さまざまな応用に柔軟に対処でき,図形や信号の処理,プログラム言語の処理その他の研究に広く活用した.

1990年京都大学定年退官後は龍谷大学理工学部教授,京都コンピュータ学院情報工学研究所長として,教育研究に当たった.この間,情報処理学会理事,副会長,会長を歴任し,また,日本学術会議第16期(1994年7月〜1997年7月)会員(第5部)となり,情報工学研究連絡委員会委員長 を務めた.2004年4月には日本最初のIT専門職大学院 京都情報大学院大学の初代学長に就任(2008年4月より名誉学長).また,著書としては共著,分担執筆を含めて22編,学会誌等の発表論文は75編を数える.2009年4月瑞宝中綬章受賞.


(2009.5.14現在)
2014年1月8日逝去.