SONY NEWS ワークステーション

NWS-830(1987年).ビットマップ・ディスプレイとLAN通信機能を備える.

NWS-830(1987年).ビットマップ・ディスプレイとLAN通信機能を備える.


NWS-3860(1991年).CPUにRISCプロセッサであるMIPS R-3000を採用している.

NWS-3860(1991年).CPUにRISCプロセッサであるMIPS R-3000を採用している.



製造年 1987年
製造者 ソニー(株)
所有者 科学技術継承財団 マイコン博物館
史料所在地 〒198-0082 東京都青梅市仲町295 青梅プラザ
公開情報 公開中(要予約)
照会先 マイコン博物館 https://scitech.or.jp/

 1987年から1990年代半ばにかけてソニー社の販売したUNIXワークステーションである.ビットマップ・ディスプレイをユーザ・インタフェースの主軸に置くXerox ALTOのパーソナルコンピュータ思想によるコンピュータは,70年代に提示されたものであったが,当時の技術では安価に製造できず,その克服に時間を要した.マイクロプロセッサの性能向上によって,80年代にワークステーションとしてそれらが市場投入されはじめると,米スタンフォード大学のベンチャーが開発したSUNワークステーションが標準的製品と見なされるようになった.そのような中,1987年に,SUNと同等以上の性能で,かつ価格競争力を持つ製品として出現したのが本機である.SONY NEWSはレーザープリンターやCD入出力装置など周辺機器も充実しており,バークレー版UNIXを基本とするOSとMITのX Windowソフトウェアを備え,またLANによるインターネット通信も可能であった.プログラム開発技術者向けのエンジニアリング・ワークステーションとして地位を確立した.
 1987年1月に発売されたNWS-830はメインとI/O処理のCPUとしてMotorola社MC68020を2基使用していた.また90年代からRISC思想によるMIPS社のプロセッサを採用するようになった.
 日本においてはコンピュータ専業メーカーも同種の製品を企画したが,主力商品であるメインフレーム計算機の端末機器としてしかワークステーションを位置づけることができず,失敗した.家電メーカーであったソニー社にはそのような制約がなく,ワークステーションの原理どおり,ユーザ・インタフェース機能を持ち,ネットワークで接続されたワークステーションを情報処理の主役とする形で実現できたことが強みであった.
 1990年代後半になると,IBM PC-ATのような安価なパーソナルコンピュータが,ソフトウェア・ハードウェア性能でワークステーションに肩を並べるようになり,ワークステーション分野の製品群はそれに駆逐される形で市場から退場した.