NEAC-R3アナログコンピュータ

装置全景

装置全景

左:積分器,加算器,係数器,符号変換器など
中央:制御盤,指示器,発振器,解サンプリング盤など
右:乗算器,折れ線近似盤,光学入力式任意関数生成器など


係数器(増幅度を精密設定できる増幅器)とその内部.真空管が見える.

係数器(増幅度を精密設定できる増幅器)とその内部.真空管が見える.


製造年 1958年
製造者 日本電気(株)
所有者 大阪大学
史料所在地 〒567-0047 大阪府茨木市美穂ヶ丘5-1 
大阪大学吹田キャンパス内(大阪大学D3センター ITコア棟)
公開情報 公開中(要予約)
照会先 大阪大学情報推進部情報企画課総務係
Tel.06-6879-8804 zyosui-kikaku-soumu@office.osaka-u.ac.jp

 アナログコンピュータは,主に微分方程式と呼ばれる数学方程式を図形的に解く目的で使われた計算機である.微分方程式は,潮流など時間とともに変化する自然現象や物体に力をかけたときの変形などを表現する方程式で,この計算機はそれを電気信号の強弱に対応させて解き,結果をブラウン管に表示したり,ペン書き(プロッター)で描画したりできる.解くべき方程式は積分器,加算器,係数器などの電気ユニットを,式に合わせて電線で結合すること(パッチボード)でプログラミングする.そして回路を動作させ,現れる電圧変化を解として記録する.装置はこれらの演算増幅器とパッチボード,表示用ブラウン管などからなる.
 汎用アナログコンピュータの概念は20世紀前半には知られていたが,電子式装置に必要な演算増幅器は当時の真空管では実現困難で,まず機械式のアナログコンピュータ(微分解析機等)が先行した.しかし1940年代に真空管でそれを実現する方法が確立すると,一気に電子式アナログコンピュータが開花した.本機は初期(真空管式)アナログコンピュータ技術の集大成と呼べる機械で,非線形のものも含め,微分方程式を汎用的に扱えるよう設計されている.
 1960年代になり半導体が実用化されると,アナログコンピュータはトランジスタで構成されたが,70年代にディジタルコンピュータの能力が向上し,それに置き換えられ,消滅した.