FACOM603F磁気テープ装置

FACOM603F キャプスタン周辺

FACOM603F キャプスタン周辺


FACOM603F

FACOM603F


製造年 1973年
製造者 富士通(株)
所有者 富士通(株)
史料所在地 〒410-0396 静岡県沼津市宮本140 富士通(株) 沼津工場
公開情報 原則非公開(応相談)
照会先 総務部
Email: fj-archives-history@dl.jp.fujitsu.com

 FACOM603シリーズは,独自技術による国産初のシングルキャプスタン方式のコンピュータ用磁気テープ装置である.同シリーズの初代機種は1964年に完成したFACOM603Aである.
 当時,磁気テープ装置は最も主要なコンピュータ用外部記憶装置であり,その性能と信頼性はコンピュータの価値を左右した.従来のテープ送り機構は,互いに逆方向に回転している2つのキャプスタンの一方にピンチローラでテープを押し当て,その送出方向を切り替えていた.この方法の難点は,テープの磁性面にテープピンチローラが触れるためにゴミが付着しやすいこと,送出方向切替時にテープに衝撃的な力が加わることであった.
 シングルキャプスタン方式では,前述のような難点は回避できるが,実用化に向けては,テープに大きな負荷をかけずにキャプスタンの回転方向を高速に切り替える技術が要求された.FACOM603シリーズは,高速で滑らかな起動停止特性を有するキャプスタンサーボ系,キャプスタンとリールサーボ系を繋ぐ真空コラム緩衝器機構などさまざまな工夫を組み合わせて,この要求をクリアした.
 FACOM603シリーズは,このシンプルな構造を持つ新方式により,高信頼,高性能,保守の容易性と低コストを実現し,コンピュータ利用の普及に貢献した.