LSIパッケージMB11K搭載のMCCボード

LSIパッケージMB11K搭載のMCCボード

LSIパッケージMB11K搭載のMCCボード


製造年 1976年
製造者 富士通(株)
所有者 富士通(株)
史料所在地 〒410-0396 静岡県沼津市宮本140 富士通(株)沼津工場
公開情報 公開中(要予約)
照会先 総務部  https://www.fujitsu.com/jp/about/plus/museum/ikeda/tour/

 世界初の全面LSI採用の超大型コンピュータモデル(FACOM M-190とAmdahl 470/V6.共に1975年完成)用に開発されたLSIパッケージMB11Kとそれらを搭載したMCC(Multi-Chip Carrier)と呼ばれる高密度実装ボード.これらを用いたコンピュータの高性能化に決定的な役割を果たした.展示品は1976年8月に製造されたものである.
 MB11Kは,富士通とアムダール社が共同開発した,4mm角のシリコン板上に100個のゲートを搭載したECLゲートアレイ・シリーズである.その1個は当時の一般的なICを数10個搭載したプリント板1枚に相当した.また,ICのゲート速度が数10ナノ秒と言われた当時にあって,MB11Kは平均700ピコ秒の速度を達成した.LSIの高密度化と高速化は発熱との闘いである.その対策として考案されたのが上部に付けられた独特の放熱フィンである.
 MB11Kの能力を活かすため,それらを搭載するプリント板にも大幅な高密度化が求められた.そのため,MCCには当時最新の技術であった表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)が採用され,併せて多層化が図られた.展示のMCCボードは,2.3mmの厚さに10層の配線が重ねられ,実装密度は同社の従来品の10倍以上あった.