日本のコンピュータパイオニア

水野 幸男水野 幸男
(みずの ゆきお)
1929〜2003

水野幸男は1929年7月16日生まれ.1953年東京工業大学・工学コースを卒業,直ちに日本電気に入社しパラメトロン,二周波メモリの研究開発を担当し,NTTのCAMAシステムの開発に参加した.

その後,ソフトウェア関係の研究開発に従事し,NEAC-2200シリーズの基本ソフトウェアおよびアプリケーションソフトウェアなどの開発を行った.1965年にFORTRAN-D,COBOL-DおよびMODI-TRなど当時先端的な基本ソフ トウェアを古山良二,青柳律夫,武田兼吉,吉村光代などとともに開発した.MITのJ.McCarthyの下でCTSSを研究,我が国最初のTSSである阪大TSSを杉崎眞,新田謙次郎などとともに完成した.1969年,COBOL言語のJIS化の委員長としてJIS COBOLの制定に寄与した.構造化プログラミングの手法をコンパイラ言語の中に導入した世界最初の構造化プログラミング言語であるCOBOL-S,FORTRAN-Sとそのコンパイラを篠沢昭二らとともに開発に成功した.

1971年より我が国独自の先進的な基本ソフトウェアであるACOS-2,ACOS-4の開発のリーダとして登家正夫,古山良二,高山由,辻雄介,内田幸久およびその他多くのメンバとともに開発した.日本電気のパーソナル・コンピュータの担当役員として浜田俊二とともにPC-9801の開発を指導し,我が国最初の日本語処理可能なPCの開発に貢献した.ソフトウェアの生産性と品質向上のためのSWQC(Software Quality Control)活動を世界に先駈けて1979年よりプロジェクトリーダとして藤野喜一などとともに開始し,日本および海外のソフトウェア生産性の向上と品質向上に寄与した.

1991年6月 代表取締役副社長
1994年6月 特別顧問、技術戦略室長
1998年6月 日通工(株)代表取締役会長
2002年6月 NECインフロンティア(株) 相談役
1997年4月 藍綬褒章
1993年から1995年情報処理学会会長を務め,また,東京大学,東京工業大学の非常勤講師として情報処理教育などに貢献した.
2003年1月24日逝去


(発田 弘)