日本のコンピュータパイオニア

清野 武清野 武
(きよの たけし)
1914〜2002

清野武は1914年11月26日東京に生まれる.1937年3月京都帝国大学工学部電気工学科卒業,同年8月同大学講師嘱託,1938年11月助教授に任命される.1946年10月工学博士の学位を授与され,1947年4月教授に任命される.1957年8月から1958年8月まで文部省在外研究員としてマサチューセッツ工科大学に留学,フェローとして応用地球物理学の研究を進めるかたわら,同大学計算センターの運営ならびにプログラミング教育の実情を視察,帰国後京都大学計算センターの創設に尽力した.その後も同センターを中心に科学計算用プログラムの研究開発を指導し,KDC-IアセンブラやALGOL-60コンパイラの開発などソフトウェアの充実に寄与した.1966年2月文部省大学学術局科学官(兼京都大学教授)に任命され,同年10月から70年12月まで国際計数センター(ローマ)の日本政府代表理事として同センター(ICC)の総会(年2回)に出席し,ICCと日本政府(文部省,外務省)との連絡に当たった.この間,情報処理学会や通産省などの協力を得て,東南アジア諸国を対象とした情報処理技術に関する啓蒙的なICC東京セミナーを開催した.

1967年12月京大復帰後も情報関係学科の創設ならびに教育研究用計算機の設置に尽力し,1970年4月には国立大学として最初の情報工学科が京都大学と山梨大学に創設されるに至った.また1969年5月から1974年3月まで文部省「情報処理教育に関する会議」の委員に任命され,大学における情報処理教育の基本方針の策定に尽力した.

1971年5月には情報処理学会会長に選ばれ,1972年11月第1回日米コンピュータ会議の日本側代表を務めた.1974年4月には京大大型計算機センター長を併任し同センターの発展に尽くした.また1973年6月から1975年5月まで文部省高等専門学校工学視学官に任命され,工業高専における情報処理教育の充実に協力した.

1974年10月通商産業大臣より情報化貢献個人表彰を受け,1978年4月京都大学を定年退官し,名誉教授の称号を授与された.1980年5月には情報処理学会名誉会員に推され,1987年11月勲二等瑞宝章受章, 1989年5月には情報処理学会功績賞を授与された.

著書としては,「プログラミングの基礎」(日刊工業新聞社,1971年3月),「情報工学入門」(朝倉書店,1972年8月)などがある.